【まだ通知は来ていません】家賃の値上げや定期借家への変更を言われたら? 大家さんが会社に変わったので先に調べた4つのこと

家賃の値上げや定期借家への変更を言われたら? 先に調べた4つのこと 暮らしとお金

「家賃の値上げのお知らせが届いた」という話を、最近よく見かけるようになりました。両学長のライブでも、家賃の値上げはよく話題になっています。

わたしの家は賃貸です。まだ値上げの知らせは来ていません。ただ、数年前に大家さんが個人から会社に変わっていて、「わが家にもそのうち来るのかな」とずっと気になっていました。

知らせが来てから慌てて調べるより、先に知っておいたほうが落ち着いて考えられます。そう思って、法律や公的な窓口の情報を中心に調べてみました。同じように気になっている方の参考になればと思い、まとめておきます。

(この記事は、わたしが調べた一般的な内容です。実際に知らせが来たときは、契約の中身や事情によって変わるので、相談窓口などで確かめてください)

この記事でわかること

  • 家賃の値上げを言われたら、その場で承諾しないといけないのか
  • 「定期借家」への切り替えを求められたら、どうなるのか
  • 知らせが来る前にやっておける準備

まず結論から ― 普通借家なら、値上げも定期借家への変更も、その場で承諾しなくていい

言われたこと基本の考え方根拠
家賃を上げたい知らせが来ただけで決まりではない。理由を聞いて話し合う借地借家法32条
話し合いがまとまらない家賃の支払いは止めない。裁判で決まるまでは「相当と思う額」を払う借地借家法32条2項
定期借家に切り替えたい新しい契約にサインしなければ、今の普通借家のまま借地借家法38条
大家さんが会社に変わった今の契約は、原則そのまま新しい大家さんに引き継がれる民法605条の2

わたしの契約書を確かめたら、「普通借家」でした。なので、この記事は普通借家の場合を中心に書いています。


家賃の値上げは、法律でどう決まっている? ― 借地借家法32条で「話し合い」が基本

家賃の値上げ・値下げは、借地借家法32条で決まっています。

税金の負担が変わったとき、土地や建物の価格など経済の事情が変わったとき、近所の似た建物の家賃と比べて合わなくなったとき、大家さんも借りている人も、これからの家賃の増額・減額を求めることができる、という決まりです。

つまり、大家さんから値上げの知らせが来ても、それだけで家賃が上がると決まるわけではありません。 まずは「なぜ上げるのか」「近所の相場と比べてどうなのか」を聞いて、話し合うことになります。

法テラスの「よくある相談」にも、「賃貸人から家賃の増額を求められた場合、従わなければなりませんか」という質問が載っていて、同じように悩む人が多いことが分かります。


話し合いがまとまらないときは? ― 支払いは止めず、裁判で決まるまでは「相当と思う額」

ここは、いちばん誤解しやすいところだと思いました。

借地借家法32条2項には、値上げの話し合いがまとまらないときは、値上げを正しいとする裁判が確定するまで、借りている人が「相当と思う額」の家賃を払えばよいと書かれています。

ただし、続きがあります。裁判で値上げが認められた場合、それまでに払った額が足りなかった分には、年1割の利息をつけて払うことになります。

なので、「値上げに反対だから家賃を払わない」はしてはいけません。わたしが大事だと思ったのは、次の3つです。

  • 家賃の支払いは止めない
  • 話し合いがまとまらなければ、調停(裁判所で間に入ってもらう話し合い)、それでもだめなら裁判、という流れになる
  • 大家さんが今までの家賃を受け取ってくれない場合は、法務局に預ける「供託」という方法がある(条件があるので、法務局などで確かめる)

「定期借家」への切り替えを求められたら? ― サインしなければ、普通借家のまま

両学長の動画(2026年5月25日公開)にも、「家賃値上げか定期借家契約への変更の二択でも両方断ることは可能?」という質問の章がありました。値上げと一緒に「定期借家」への切り替えを求められることがあるようです。

普通借家から定期借家に変えるには、新しく定期借家の契約を結び直す必要があります。つまり、借りている人のサインがなければ変わりません。

しかも法律(借地借家法38条)で、定期借家は次の2つがそろわないと成り立たないと決まっています。

  • 書面(または電子)で契約すること
  • 契約の前に、大家さんが「更新がなく、期間が終わったら契約が終わる」と書いた書面を渡して説明すること

「値上げをしない代わりに、定期借家にしてほしい」のように、2つをセットで言われても、別々の話として考えるのがよさそうです。


定期借家は借りる側に不利? ― 更新がなく、住み続けられるかは大家さんしだい

調べてみて、借りる側から見ると、不利になる点が多いと感じました。

普通借家(わたしの契約)定期借家
期間が終わったら更新される。大家さんが断るには「正当な理由」が必要更新がなく、期間が終わったら終了
住み続けたいときそのまま続けられることが多い大家さんが再契約してくれることが必要
家賃の変更32条で話し合い「家賃の改定の特約」があれば、その決まりどおり(32条は使えない)
途中でやめたいとき契約の決まりどおり床面積200㎡未満の住まいなら、転勤・療養・介護などやむを得ない事情のとき、1か月前に申し出て解約できる

定期借家の物件は、相場より家賃が安めに設定されていることもあるそうです。ただ、今住んでいる普通借家を、わざわざ定期借家に切り替えるメリットは、借りる側にはほとんど見当たりませんでした。


大家さんが会社に変わったら、契約はどうなる? ― 原則そのまま引き継がれる

わたしがいちばん気になっていたところです。

民法605条の2では、借りている建物が売られても、大家さんの立場は新しい持ち主に移ると決まっています。今の契約や家賃は、原則そのまま引き継がれます。敷金を返す義務も、新しい大家さんに引き継がれます。

「会社に変わると値上げされやすいのでは」とも思ったのですが、そういう公的なデータは見つかりませんでした。なので、ここは「持ち主が変わった=値上げされる」ではない、と考えることにしました。


値上げの知らせは増えている? ― 通知が来た人は17.2%

SUUMOが2026年5月に行った賃貸の入居者調査では、家賃の値上げの知らせが届いた人は17.2%で、2025年より4.6ポイント増えていました。直近半年以内に更新した人では、25.2%だったそうです。

ただし、これは「知らせが来た人の割合」で、「実際に値上げされた人の割合」ではありません。


知らせが来る前に、わたしがやる4つの前準備

調べたことをもとに、前準備を4つに絞りました。

① 契約書で「普通借家」か「定期借家」かを見る(済み)

契約書のいちばん上のタイトルが「定期建物賃貸借契約書」なら定期借家です。わたしの契約は普通借家でした。あわせて、「賃料の改定」の特約や、更新の決まりも見ておきます。

② 大家さんが変わったときのお知らせを、1か所にまとめる

新しい大家さん・管理会社の連絡先、家賃の振込先が分かる書類を、契約書と一緒にしておきます。

③ 近所の似た部屋の家賃を、日付つきでメモしておく

間取り・広さ・築年数・駅からの距離が近い部屋の家賃を、見た日と一緒に残しておきます。値上げの理由が「近所の相場」だったときに、比べられるようにするためです。ただし、物件サイトの家賃は「募集の家賃」で、実際に契約された家賃とは限りません。

④ 相談先をメモしておく

  • 消費者ホットライン「188」(近くの消費生活センターにつながる)
  • 法テラス(0570-078374)
  • 話し合いがまとまらないときは、裁判所の民事調停

正直に書く、気になるところ

  • わたしのところには、まだ値上げの知らせは来ていません。 この記事は前準備として調べた内容で、実際に交渉した体験ではありません
  • 「相当と思う額」がいくらなのかは、自分では判断しにくいと感じました。今までの家賃のままでよいかどうかも、事情によって変わるようです。知らせが来たら、早めに相談窓口に聞くつもりです
  • 両学長の動画は、章の題名で家賃の値上げや定期借家の話を取り上げていることを確かめましたが、中の発言はこの記事では引用していません。この記事の法律の説明は、条文や公的機関の情報をもとにしています

さいごに:普通借家なら、知らせが来てもその場でサインせず、持ち帰って確かめる

  • 普通借家なら、家賃の値上げは「話し合い」が基本。知らせが来ただけで決まりではない
  • 話し合いがまとまらなくても、家賃の支払いは止めない
  • 定期借家への切り替えは、サインしなければ変わらない。借りる側には不利な点が多い
  • 大家さんが会社に変わっても、今の契約は原則そのまま引き継がれる

知らせが来ると、どうしても焦ってしまうと思います。でも、先に「その場でサインしない」「支払いは止めない」「困ったら188」の3つだけ覚えておけば、落ち着いて考えられそうです。実際に知らせが来たら、この記事に追記します。

同じように悩んでいる方の参考になればうれしいです。

※法律の内容は、2026年10月1日にe-Gov法令検索で確認した借地借家法(32条・38条)と民法(605条の2)にもとづきます。入居者調査の数字は、SUUMOが2026年5月に行った調査(全国賃貸住宅新聞 2026年9月12日の記事)によるものです。本記事は個人の体験と調べた内容をまとめたもので、特定の商品の推奨や個別の状況に応じた助言を目的としたものではありません。最終的な判断はご自身の状況に合わせて行ってください。実際に値上げや契約の変更を求められたときは、消費生活センター(188)や法テラスなどの窓口でご確認ください。

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